FileMaker Server 2023 で追加、機能強化された内容をざっくり確認していきましょう!
こちらの記事をまとめている間に修正アップデート(バージョン 20.1.2 )が出ました。アップデート内容はリリースノートをご確認ください。
FileMaker Server リリースノート
動作環境
まずは動作環境を確認しておきましょう。
Claris FileMaker 2023 動作環境
こちらで Pro/Server/Go など、まとめて確認できます。
動作環境のページでは、バージョン表記が 「FileMaker Server 20.1」というように、内部バージョンの表記になっています。
製品名は「2023」ですが、内部バージョンとしては「20.1」なのですね。
動作環境の中でも注目なのは、サポートされるオペレーティングシステムおよびデバイスに Ubuntu 22.04 AMD64 と ARM64 の両方のアーキテクチャバージョンが追加になっているところです。動作環境の選択肢が広がるのはありがたいですね。
また、関連して Docker インストールスクリプトも 同様のサポート対応されたとのことです。詳しくは、実際に検証しているこちらの記事をどうぞ!
ログ
FileMaker Server の ログ に関する変更点です。
- スクリプトイベントログ「scriptEvent.log」
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ログファイルが追加になりました。追加といっても、「Event.log」に記録されていた一部(スクリプトイベント)が、「scriptEvent.log」のファイルに記録される、という変更になります。
こちらの記事で旧バージョンとの比較で解説していますので、こちらもぜひどうぞ!
FileMaker Server 2023 で追加されたログ(scriptEvent.log) - FileMaker Server で実行されるスクリプトで [エラーログ設定] スクリプトステップがサポート
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FileMaker Server スクリプトスケジュールでの実行や、[サーバー上のスクリプトを実行] スクリプトステップでの実行の際に、エラーログが記録されるようになります。
FileMaker Server 2023 で追加されたログ(FMSEScriptErrors.log)
バックアップ
FileMaker Server の バックアップ に関する機能追加および変更点です。
- データベースのバックアップで一貫性チェックに失敗したときに通知が表示される
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バックアップスケジュールで選択できる [検証] をチェックしておくと、バックアップの完了後に一貫性チェックが実行されます。一貫性チェックに失敗したときに通知が表示されるようになりました。
- エラーまたはユーザによってバックアップが中止された際のバックアップについて
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- フォルダ名の頭に「Canceled-」が付く
- Canceled フォルダにすべてのバックアップを保持する(以前の動作)に戻すには fmsadmin コマンドで設定を変更する
fmsadmin set serverprefs KeepCancelledBackups=true
Java
- Java ガベージコレクションを実行(WebDirect、カスタムWeb公開の使用時)
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Admin Console [コネクタ] > [Web 公開] > [Web 公開エンジン]
- Java ガベージコレクションを実行してプライマリマシンで Web 公開に使用されるメモリを解放できる
- ガベージコレクションの実行はプライマリマシンとセカンダリマシンの両方から実行できるスクリプトスケジュールとしてもサポート
- 上記に関連して、JRE ではなく Java 17 JDK がインストールされるように(Ubuntu)
FileMaker Data API / OData
- FileMaker Data API で [レコードを PDF として保存] スクリプトステップがサポート
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- FileMaker Data API 経由でスクリプトを実行する際に [レコードを PDF として保存] がサポートされた
- Data API を使って外部から FileMaker を操作する場合は、どのスクリプトステップがサポートされているかはヘルプをチェックしましょう
- OData サポート
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- SchemaVersion が $metadata 応答に含まれるようになった
OData のメタデータを取得する
https://<ホスト>/fmi/odata/<ODataバージョン>/<データベース名>/$metadata
こちらで返ってくる内容に SchemaVersion が追加されています
例) “@Org.OData.Core.V1.SchemaVersion” : “hogehoge” - PUT/POST/PATCH/DELETE $ref 操作とエイリアスをサポート
関連レコードのキーを追加、変更、削除ができる $ref がサポートされています。
https://<ホスト>/fmi/odata/<ODataバージョン>/<データベース名>/<テーブル名> (<主キーの値>)/<関連テーブル>/$ref
DELETE は関連レコード自体を削除ではなく、リレーションキーのフィールド内容がクリアされる、という動きになりました
OData API ガイド:レコードの参照の更新
- SchemaVersion が $metadata 応答に含まれるようになった
その他
- 共有データベースファイルの最大数が 125 から 256 に増加
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エンジニアの皆さんにはお馴染みのキリのいい数字ですね。
- データベースが閉じられるプロセス中は新しいクライアントの接続がブロックされる
- アンインストール時に FileMaker Server の構成が保存され、ユーザは次のインストール中に以前の構成のロードを選択(Windows)
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合わせて「Assisted Install.txt」に「Load Previous Configuration」変数設定が追加
FileMaker Server の Assisted Install 設定 - Nginx ロードバランサ URL 入力(Ubuntu)
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Admin Console [コネクタ] > [Web 公開] に追加
各種アップデート
- Java
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- Vaadin バージョン 8.18.0
- Java バージョン 17 サポート
- xDBC (ODBC/JDBC)
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- xDBC 接続が X509_sign に MD5 ではなく SHA256 を使用
- ODBC ドライバが OpenSSL 3.0.8 をサポート
- パッケージ更新
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- OpenSSL バージョン 3.0.8(Windows および macOS)
- Tomcat バージョン 9.0.69
プレビュー機能
- クイックサーバーリスタート
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- プロセスが予期せず終了した後、自動的に FileMaker Server を再起動する
- fmsadmin コマンドラインおよび FileMaker Admin API を使用して有効にできる(デフォルトは無効)
- プレビュー機能なので、テスト検証用や開発環境でまずはお試ししてみるのが良いかと思います
- Microsoft Active Directory 対応(Ubuntu)
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- Admin Console [管理] > [外部認証] > [ディレクトリサービス設定]
- FileMaker のユーザー認証で外部認証を使う場面も増えてきました。Ubuntu Linux 版はまだまだ可能性を秘めているということでしょう…